AGA(男性型脱毛症)とは

AGA(Androgenetic Alopecia)は、「男性ホルモンによる脱毛症」を意味し、日本語では男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)と呼ばれます。日本では約1,200万人以上が抜け毛や薄毛に悩んでおり、その多くはAGAが原因です。

AGAは特に30~50代の男性に多く見られますが、最近では20代の若者にも増えてきています。AGAは進行性のため、放置しておくと髪の毛が徐々に減少し、抜け毛や薄毛が目立つようになります。

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AGAの原因

毛髪には一定の寿命があり、「毛周期」と呼ばれるサイクルに従って成長し、抜け落ち、同じ毛根から新しい髪が再び生えてきます。この正常なサイクルが保たれている限り、薄毛になることはありません。しかし、このサイクルを乱す物質が「DHT(ジヒドロテストステロン)」です。

DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって変化したもので、毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつくと、髪の正常なサイクルを狂わせます。5αリダクターゼにはタイプⅠとタイプⅡの二種類があり、それぞれⅠ型DHTとⅡ型DHTを生成します。

AGAが主に現れる前頭部と頭頂部には、タイプⅡの5αリダクターゼが多く存在し、AGAが出にくい後頭部と側頭部にはタイプⅠが多く存在しています。通常、髪は2年から6年間成長を続けるものですが、DHTタイプⅡが前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターに結合すると、脱毛に関与するタンパク質が生成され、髪の寿命が数ヶ月から1年に短縮されてしまいます。

この脱毛に関与する代表的なタンパク質が「TGF-β1」です。TGF-β1はサイトカインの一種で、細胞の働きを調節する内因性の生理活性蛋白質です。TGF-β1が毛包細胞に存在するレセプターに結合すると、毛包細胞の自然死(アポトーシス)が誘導され、毛周期が退行期に進んでしまいます。これが、AGAによる脱毛のメカニズムです。

自分がAGAか判断するポイント

AGAかどうか自身で確認するためのチェック項目を挙げます。多くの項目に当てはまった場合、AGAの可能性が考えられます。

  • 抜け毛が徐々に増えてきた。
  • おでこが広くなった。
  • 頭頂部のボリュームが減った。
  • 髪の毛1本1本が細く、短くなった。
  • 父親、祖父など血のつながった人にAGAの人がいる。

遺伝以外に、ストレス、生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアの仕方などによる頭皮環境の悪化もAGAの要因として関わっていると言われています。

AGAの治療・対策方法

有効成分フィナステリドの服用

フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)の進行を抑制する効果があり、アメリカのFDA(食品医薬品局)によっても安全性が認められている成分です。フィナステリドは、ヘアサイクルの乱れを正常化する作用があり、これにより髪が早く抜け落ちたり、細くなるといった症状が改善されます。

AGAの進行を抑えるためには、フィナステリドの内服が必要です。メソセラピーや自毛植毛は、すでに薄くなってしまった部分の改善に役立ちますが、AGAの進行を止める効果はありません。そのため、AGAの進行を抑えたい場合は、フィナステリドの内服が重要です。

植毛(自毛植毛)

植毛とは、髪の薄い部分に人工の毛や自分の皮膚組織を移植する施術のことです。人工の毛を使用する場合は「人工植毛」、自分の皮膚組織を使用する場合は「自毛植毛」と呼ばれます。植毛により、自然な仕上がりで髪が増えたように見せることが可能です。

特に、自毛植毛は自身の毛を使用するため、手入れの手間が少なく、抜けても自然に再生します。しかし、植毛を行ってもフィナステリドを内服しない場合、移植した毛は残っても、周囲の髪が抜けてしまう可能性があります。そのため、フィナステリドの併用が重要です。

メソセラピー

メソセラピーとは、AGA治療に適した成分を直接頭皮に注入する施術です。
メソセラピーには副作用が少ない、内服薬のみと比べて効果を早く実感できるというメリットがあります。
ただし、メソセラピーをしてもフィナステリドを内服しなければ、AGAの進行を止めることができません。

このように一口にAGA治療といっても、AGAの進行具合により適切な治療法を選択することが重要になります。

AGA治療の期間

効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的には3ヵ月から6ヵ月ほどかかると言われています。効果が出始めるまでの期間は3ヵ月~6ヵ月ほどですが、その後も継続して使用することが重要です。なぜなら、薬をやめてしまうと、抜け毛の原因となる男性ホルモンが再び働き始め、元の状態に戻ってしまう可能性があるからです。

そのため、薬を中断するのではなく、症状の改善度に応じて薬の量や種類を調整していくことが推奨されます。

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