ビタミンDについて

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ビタミンDの効用

アメリカ国立衛生研究所(NIH)は「ビタミンD不足は世界的な問題」と指摘していますが、特に日本人のビタミンD濃度は非常に低いことが問題視されています。このため、厚生労働省は2018年12月にビタミンDの摂取基準値を引き上げることを発表しました。ビタミンDはカルシウムや骨の代謝に不可欠な栄養素です。

健康に対する様々な効用について

近年の研究により、ビタミンDには健康に対する多くの効用が明らかになっています。まず、免疫力の向上やアレルギー症状の改善が挙げられます。ビタミンDは「カテリジン」と呼ばれる抗菌ペプチドを生成し、細菌やウイルスに対抗する働きを持っています。また、「β-ディフェンシン」を皮膚で作り出し、バリア機能を強化します。ビタミンDは食事から摂取するだけでなく、紫外線を浴びることで体内でも合成されますが、冬場は紫外線が減少し、ビタミンDや抗菌ペプチドが不足しやすくなります。このため、風邪やインフルエンザ、アトピー性皮膚炎が悪化しやすくなります。

さらに、冬に多く見られる花粉症の発症要因にも腸の状態が関与しています。リーキーガット症候群により腸のバリアが弱まり、未消化の物質が体内に侵入し過剰なアレルギー反応を引き起こします。ビタミンDは腸の結合を改善し、適切な免疫反応を促すことで花粉症の根本的な改善に寄与します。

最近の研究では、ビタミンDが脳内のセロトニンを調整し、うつ症状に効果的であることもわかっています。例えば、日照時間が短い北欧諸国では自殺率が高いとされ、ビタミンD合成不足が一因と考えられています。また、日本でも冬季に抑うつ症状の患者が増加します。美白を気にして紫外線を避ける女性も多いですが、1日15分程度の日光浴が推奨されます。

ビタミンDが摂れる食材

アメリカ国立衛生研究所(NIH)は「ビタミンD不足は世界的な問題」と指摘しており、特に日本人のビタミンD濃度が非常に低いため、厚生労働省は2018年12月に摂取基準値の引き上げを発表しました。ビタミンDはカルシウムや骨の代謝に不可欠な栄養素です。

ビタミンDを含む食材には、以下のようなものがあります:

  1. きくらげや干しシイタケなどのキノコ類
  2. 内臓ごと食べられる魚類やししゃも、しらす干し、鮭など

ビタミンDに関する研究は進展しており、発達障害や統合失調症、認知症、子宮筋腫、不妊症、糖尿病、心血管系の影響、大腸癌や前立腺癌、乳癌の予後、さらには血中ビタミンD低値群の死亡率が1.26倍上昇するなど、多岐にわたる分野で報告されています。

世界的に摂取不足が懸念される中、サプリメントによる補充も選択肢の一つです。ただし、ビタミンDは脂溶性ビタミンのため過剰摂取のリスクもあるため、サプリメントを利用する際は医師や薬剤師、栄養士と相談することをお勧めします。

【参考文献】
Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology (2005) 97:3-5
Science (2006) 311:1770-1773
British Journal of Cancer (2007) 97:446-451
Virology Journal (2008) 5:29
Archives of Internal Medicine (2008)11-168:1629-1637
Fertility and Sterility (2010) 94:1314-1319
溝口徹「花粉症は1週間で治る!」さくら舎、2018年

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